ピグ中毒
パーティーが終わって、僕はさすがに我に返って、
「ああ、まずいことをしてしまった」
と反省した。
そして、少女に僕は謝罪の意味を込めて、某SNSで次のような文章を送った。
「今日はごめん。でも、本当に素敵な歌声だと思ったよ。またよかったらパーティーに参加してほしいな」
と。
すると、少女はすぐにこれに対して既読をつけて、こう返してきた。
「計画通り、ですね」
そう、言ったのだ。「計画通り」だと。
「私、ずっとレモンミルクティーさんと1対1で話してみたかったんです。でも、レモンミルクティーさんってパーティーでとても人気じゃないですか? 私がいくらこの想いを伝えたって、すぐにかき消されちゃうと思ったんです。パーティーに参加している人たちって、バーゲンセールで戦うおばさんみたいなものなんですよ。まあ、あれくらい露骨なものじゃなくて、こう、なんて言うか……」
そこで返事が止まっていた。
僕は5分待って、返した。
「静かな戦争?」
「そうです! 静かな戦争って感じです! だから私、アプローチの方法を変えてみたんです。どうすればレモンミルクティーさんの中で印象に残って、どうすれば私の歌を聞いてくれて、それに対してレモンミルクティーさんがどんな反応をするか、そして、その後、レモンミルクティーさんが取る行動まで想像してですよ? これを計画通りと言わずして、なんて言うんですか?」
僕はそのメッセージを見て、思わず笑ってしまった。
「いい計画だったよ」