ピグ中毒




「ねえ、レモンミルクティーさんって日本神話に詳しいですか?」


日本神話? と首を傾げたが、僕はスマホですぐに日本神話の意味について調べた。


「古事記とか日本書紀みたいなこと?」


「そうです、そうです。私、日本神話が好きで、特にアメノウズメって神様が好きなんです」


「へえー、それってどんな神様なの?」


「レモンミルクティーさん、天岩戸伝説は知ってますよね?」


僕はまたスマホで検索した。


「もちろん。アマテラスが天岩戸に隠れたってやつでしょ?」


「まあ、ざっくり言うとそんな感じです」それからミキは続けた。


「アマテラスオオミカミが、弟のスサノオノミコトの粗暴に耐えられなくなって、天岩戸に引きこもってしまうんです。でも、アマテラスオオミカミって太陽の神様じゃないですか?」


知らない。と思ったが、僕は「そうだね」と返した。


「そんなアマテラスオオミカミが隠れちゃうと、太陽が出てこなくて、世界の秩序が乱れるんです。それを心配したいろんな神様があの手この手で、アマテラスオオミカミのご機嫌取りをするんですよ。アメノウズメもその1柱で」ミキはアメノウズメを「1人」じゃなく、「1柱」と数えた。


「アマテラスオオミカミをどうにか天岩戸からおびき出そうと、裸で踊ったって伝説があるんです。その伝説が伝わって、今では芸事にご利益がある神様になっているんですよ」


「そうなんだね。でも、なんでそのアメノウズメが好きなの?」


何気なく聞くと、ミキは20分ほど時間を空けて、返信してきた。


「笑わないって約束できます?」



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