ピグ中毒
季節は移ろい、人の心も移ろう。
それはまるで、桜の花びらのような色を染めていた柔らかい頬が、夏の新緑のような色の青汁を飲んだ後のしわの入った頬に、移ろうように。
僕はもう暴走をしていた。
赤信号をいくつもやり過ごし、後ろを追いかけてくるパトカーを何台も振り切った。
助手席に座ったミキは何も言わなかったが、でも、何となくわかっていて。
ああ、もううんざりしているんだなって。
それでも気づかないように、必死に前だけを見た。
道は暗い。ヘッドライトのハイビームもまるで役割を持たない。
それでも、走るしかなかった。
走って、走って、走って……。
そして、急なカーブに差し掛かる。
僕は曲がれず、たまらず、崖下に落ちていく、ああ、落ちていく……。
その一瞬、ふわっと助手席から何かが舞い上がって、見ると、裸の美しい、それはそれは美しい少女だった。
「女優に大事なのは、演技力と経験だから」
笑っていた。いや、嘲笑っていた。
くそ、これだから。
これだから子供は嫌いなんだ。