ピグ中毒




目を覚ますと、星空があった。


ずっとあったのに、前ばかり見ていたせいか、とても久しぶりな、そんな感じがした。


僕はトラックに投げ出されていた。


でも、指先ですら動かせない。


それなのに、それなのに、僕ってやつは。


「ああ、綺麗だ」


そして、星の数を数えだした。


一つ、二つ、三つ……。


その中でも、一番小さく輝く星。


あの星が一番綺麗だと感じた。


その瞬間、指先がああ、動く。


必死に手を伸ばす。


掴めるか、掴んでいいのか?


いや、掴む。


そうして、ブレーキが壊れたなら?


ふっ、また落ちればいいだけじゃないか。


小さな星はまだこんなにもたくさんあるのだから。



< 34 / 35 >

この作品をシェア

pagetop