悪魔と私
「私が…一番大切に思ってるものの記憶…?」
「うん。そして記憶をなくした人は、忘れたことも分からないよう、それに関係することも一緒に忘れてしまうんだ」
(私が一番大切にしてたものって、何だろう…)
「サン君、ありがとう。私、気分転換に外出て来るよ」
一人になりたくて、外に出ることにした。
「分かった。気をつけてね」
サンは心配そうな顔をしたが、そんなアイルには気づきもせず、笑顔で言った。
「うん」
そういうと、アイルは木の扉を引いて、外に出た。