悪魔と私
1章 旅
Ⅰ 占い師の言葉
ちゅんちゅんちゅん…
ガバッ
「…夢……?」
(久しぶりに、あの日の夢を見たな…)
「ふわああ・・・」
私は大きなあくびをしてから、階段をおりて、朝食を作りにキッチンへと向かった。
キッチンにはもう黒髪で背の高い男がいて、朝ごはんを作っていた。
「おはよう、クロ」
「はあ、やっと起きたか。アイル、お前は何でそんなに起きるのが遅いんだ?」
クロと呼ばれた男は振り返り、目玉焼きを返しながら言った。
「!うっうるさいなあ!!じゃあ、私も聞くけど、何で悪魔のくせに、お昼も起きてるの?悪魔って、日に当たるのがきらいなんじゃないの?」
「それは、俺が最強な悪魔だからだ。」
絶対ウソだ…
私はぼそっとつぶやいた。
「いま、何か言ったかな?もう一度言ってくれるか?いや、よく聞こえなかったんでねぇ」
うわっ顔に怒りマークついてるよ!
さすが悪魔。聴覚がずば抜けてます…。
「えっ…えっと、『ホントに最高で最強な悪魔だ』って言ったのよ!」
「へーえ?そりゃあ、ありがとうございます」
「いやー、どういたしまして?」
…とクロードはいうと、にっこりと笑った。
(笑ってない!目が笑ってないよ、クロードさん!!)