意地悪王子には騙されない。

真優「私、もう先行くから!」
(そろそろ校門に着くし、目撃されたらまずいからここら辺で分かれた方がいいよね)

李音「あ、まーちゃん!!」


早歩きで行ってしまった真優。


真優(もう本当、なんなのっ……)


手を握り締めながら、歩いていく。すると目の前には……。


蒼人「か、華恋」

華恋「蒼人?どうしたの?」


真優(ああ……最悪だ。そうだよね……)


佐々木華恋、真優の言う“あの子”だ。クラスの中で一番美人と言われている女子。

そう……蒼人の想い人だった。


蒼人「今日、時間あるか?」

華恋「ごめん、今日は今狙ってる人誘う予定だから無理」

蒼人「……そうか、わかった」


真優(あおくん……)


華恋は美人で明るい性格だ。みんなからとてもモテている。

そんな彼女に恋する蒼人を……自分のものにすることなど、叶わないとわかっていた。

だけど、気持ちを抑えることもできない。


蒼人「あ……真優」

真優「あおくん……おはよう」

蒼人「おはよう。なんか悲しそうだな」

真優「あおくんこそ……」


互いに暗い表情の中、歩き出す。


蒼人「……俺さ、華恋のこと好きなんだよな」

真優「そう、なんだ……」
 (わかってたのに……改めて言われると、辛いな……)

蒼人「なぁ、真優って、好きな人……いる?」


切ない気持ちを抑えながらも……きっと、これで終わりだと思いながら、真優は口を開いた。
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