意地悪王子には騙されない。
真優「ひゃっ……!!」


急に耳を噛まれる。


李音「ふふふ、おいひ……♪」

真優「な、なにっ……!?」


甘噛みしたかと思えば今度は耳の裏を舐められて。


真優「や、ぁっ……」


変な声が出そうになるのを両手で必死に押さえ込む。


李音「まーちゃんのバーカ。これは懲罰なんだから」

真優(懲罰……?)

李音「せっかく慰めてあげるって言ってんのに、僕のこと見ないのが悪いんだ」

真優「ま、待って、どうしてそんなに私なの……?」

李音「すぐ騙されてくれそうだから」


耳元でボソッとそう囁かれる。


真優「ひゃっ……!!」

李音「勘違いして、好きになっちゃえば?」

真優「ぜ、絶対にそんなことにならないから……!!」

李音「ふ〜ん、恋しても知らないからね?」

真優「だから、しない……!!」


すると、ガチャンと車の扉が開く。


執事「坊っちゃま、到着いたしました」

李音「わかった。おつかれ」

執事「ありがたきお言葉」


開いた先には胸に手を当てて、綺麗に90度、お辞儀をしている背の高い執事が立っていた。


李音「じゃあ行こうか、ま〜ちゃん」


車を降りた李音に手を差し伸べられる。

どうしていいのかわからずに、とりあえず手を重ねればぎゅっと握り締められて、そのまま強引に引かれた。
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