意地悪王子には騙されない。
李音「ほら行くよ」


まだ強く握られていた手をもう一度引かれて、建物の中に入って行く。

お洒落な空間に、目を輝かせる真優。

蒼人のことなんて、衝撃がありすぎて少し忘れ始めていた。


李音「席、どこ座ろうか?」

真優「ほ、本当にいいの?」

李音「当たり前だよ、だって真優ちゃん僕の婚約者なんだから」

真優「へっ?そ、そっか」
 (一応そういうことになってるんだっ  
  た……!!)


キョロキョロしながら李音は、窓辺の景色のいい席に真優を誘う。


李音「そっち、座って」

真優「う、ん」


店員に椅子を動かしてもらい、座った真優。

初めての光景に、ワクワクが止まらなかった。

そして何より、チョコレートのいい匂いが堪らない。


李音「じゃあまずは、パフェから食べる?」

真優「ぱ、パフェ……!?」

李音「もちろん、チョコレートの」

真優「いいの!?」


目を輝かせる真優。


李音「もちろんだよ、告白頑張ったまーちゃんへのご褒美」

真優「ありがとう……!!じゃあお言葉に甘えて食べさせてもらいたいです……!」

李音「ふふ、目キラッキラで可愛いね。もう頼んであるから安心して」

真優「へっ?いつのまに……!」
 (す、すごいなぁ……色々と)


少し焦りながらも、どこか嬉しそうな表情をする真優が愛おしい李音。

< 15 / 48 >

この作品をシェア

pagetop