意地悪王子には騙されない。
真優「そ、それはよかった」
 (マジトーンで言われると本当勘違いしちゃうんですけど……!!)


きっとお世辞だろうなーなんて否定的なことを思ってしまう。 

バッと後ろを向いて、照れる顔を隠すようにしていた。


真優(こんなイケメンに料理褒めてもらえるとか、私嬉しいのかもしれない……)

李音「ま〜ちゃんはまだ食べないの?」

真優「あ、私ももう食べる」


真優も席について、一緒に朝ごはんを食べ始めたのだった。


○学校・教室


昨日の夜は特に泣くこともなかった。李音が励ましてくれたからだ。


蒼人に会うのもそこまで気まずくはない。吹っ切れて逆にスッキリしているぐらいだった。


李音(ま〜ちゃん今日も本当可愛いなぁ)


長年真優に会えてなかったものだから、なんだか存在していることが奇跡のようで、毎日何回もそんなことを考えてしまっていた。


李音(今日はたくさん寝れたし、元気出てきたかも)


隣にいる真優が愛おしい李音。


女子生徒「あ、あの李音くん」

李音(あー……ま〜ちゃん本当可愛い。予習してるの?偉いね好き)

女子生徒「李音くーん」

真優「……李音くん」

李音「ん?な〜に?」

真優「呼ばれてるよ」

李音「ま〜ちゃんに?」

真優「私じゃなくてあの子に」


だるそうに後ろに振り向いた李音。


李音「何か御用かな?」

女子生徒「あ、あの、これ、受け取ってください!」

李音「ありがとう」


とびっきりの愛想笑いをすると、女子生徒は顔を真っ赤にしてどこかへ行ってしまった。


真優「それ、ラブレター?」

李音「え〜?興味あるの?」

真優「ちょっと気になっただけ」
  (モテるってすごいなー)

李音「安心して、こんなのいらないから」


ビリビリと真っ二つに手紙を破ってしまった李音。


真優「えっ?な、何してるの!?」

李音「僕好きな人いるんだよね。これを読んだら浮気だ。だから、捨てるの」

真優「そんな、お手紙を書いた子の気持ちはどうなっちゃうの……?」

李音「まーちゃんはやさしーね、だけど僕されて嫌なことは自分でしないって決めてるんだ」


にこっと微笑んだ李音は、その手紙を握りしめて、ポイッとどこかに捨ててしまった。

その手紙は、隠れ潜んでいた執事が回収して処分しただとか。


真優はどうしてそんなひどいことをするのかわからなかったが、今日の数学は苦手な部分が出るはずなので必死に予習をしていた。



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