意地悪王子には騙されない。
杏奈「え、真優ピンチじゃん」

真優「あ、杏奈……!助けて……!!」


現れたのは真優の親友である杏奈だった。

ほんわかした雰囲気をしていて、少し真優より背が高いボブヘアをしている。


杏奈「私はどうにもできないなぁ」

真優「そ、そこをなんとか……!!」

杏奈「いい匂いする?」

真優「めっちゃいい匂いする……」

杏奈「ならいいじゃん!」

真優「よくないよ……!!!」


無気力な見た目のわりに、真優を抱きしめる力が尋常じゃない李音。

動かなければいいものの、少しでも離れようとすると一気にものすごい力で押さえつけられて、抵抗が全くできなかった。


真優(このままじゃ授業時間に突入しちゃう……!!)


ヒヤヒヤしだす真優。


真優「り、李音くん起きて……?本当に、私無理だよぉ……」
 (次の授業範囲もとっても大事なところな
  のお願い起きてぇ……!!)


李音「んー……お姫様のキスがないとダメかなぁ」

真優「……え?」
  (キス?……寝ぼけてるのかな?)

李音「早く〜……」


スリスリ首筋に顔を擦り寄せてくる李音がくすぐったい。

もう恥ずかしくて意識が飛びそうな真優。


真優「李音くんなんか嫌いっ……!!」
  (絶対に目立ちたくなかったの  
   に……!!)

李音「……え」


そう言った瞬間、絶望したような李音と顔が合わされる。


真優「離して!そしてもう二度と近づかないで!!」

李音「っ……!!」

真優(せっかく、少し仲良くなれたと思ったのに!)


李音は相当ショックだったのか、フリーズしてしまっていた。

その隙に真優は腕から逃れて、自分の席に座ったのだった。


真優(はぁ……一件落着……)


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