意地悪王子には騙されない。
李音は真優を傷つけた一部の人だとして、とても嫌悪感を抱いていた。


華恋「で、あるの?」

李音「ある」

華恋「なぁに?」

李音「真優」

真優「へっ!?」


先ほどの態度と一転して、狂おしいほどににっこり笑みを浮かべながらそう言った李音。

真優は隣からそれが聞こえてきて、目を丸くしながら間抜けな声を出していた。


華恋「っ、え?」

李音「あー……眠」


李音は目をこすりながら、いつも通りうつ伏せて眠りについてしまったのだった。

となると、気まずいのは真優だ。


真優(え、私……?人違い?)


華恋からのものすごい視線を感じていた。


ドクドクと心臓の音が大きくなる。


握っていたシャーペンをノートに走らせて、焦りを誤魔化していた。


華恋「真優ちゃんは、李音くんのこと、好きなの?」

真優「えっ?な、なんで?」

華恋「だって、この間だって抱きしめあってたじゃん」

真優「あ、あれは事故で……」
  (な、なんかとっても不機嫌……?)


華恋は真優に嫉妬して、いつもとは裏腹、少し冷たい態度をとっていた。


華恋「事故?さすがに事故じゃ片付けられないんじゃない?」

真優「そ、そうかも、だけど……」
  (怖い……)


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