意地悪王子には騙されない。

真優「李音くん、初めまして。同じクラスのまゆうだよ、よろしくね」


クラスの中でも人気があった、真優に話しかけられた。


李音「っ……」


だけど李音は、また何か言われるのが怖くて、何も言い出せないままそっぽを向く。


真優「李音くんって、何か好きなものある?」

李音「……ない」

真優「そっか……。私はチョコレートが好きなんだ〜」

李音(チョコレイト……!僕も好き)


共通点が見つかって嬉しい李音だけれど、真優にそのことを言いたくても言えなかった。


真優「李音くんも、チョコレート好きだったりしない?」

李音「……うん、好き」


コクリと頷いた李音を見て、真優はにっこり笑顔を浮かべる。

その笑顔が優しくて、ひどく安心してしまう李音。


真優「一緒だね」

李音「うん……」

真優「ふふっ、真優すごい嬉しい……!」

李音「っ……!」


満面の笑みを浮かべた真優に心惹かれた。

なんて純粋に微笑むのだろうと。


真優「一緒にお絵描きしようよ!」

李音「ぼ、僕でいいの?」

真優「りおくんだからいいんだよ!私、チョコが好きで一緒な人、もっと仲良くなりたい……!」


心の底から、真優が言ってくれているのがよくわかって、李音は真優だけに心を開く。


こうして、二人の中は縮んでいった。


だけど、小学校は李音は優秀なエリート校、それも初等部から高等部まである学校に通うことになっていたので、お別れの時間が迫る。

そして……
卒園式の際に、真優に李音が近づいて行く。


「ま〜ちゃん、僕ね、大きくなったら真優ちゃんの旦那さんになりたいの」

「旦那さん……!?すごいね、じゃあ楽しみに待ってる!」

「!うん!ありがとう!いつか絶対に王子様みたいにカッコよくなって、お迎えに行くからね!」


こうして、二人の約束……ができた。

李音は小学生になると、とても多才で優秀に育って行った。

だけど考えるのは、真優のことばかり。


こうして、李音は真優を迎えに来たのだった。

真優は……新しい王子様を見つけたというのに。
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