意地悪王子には騙されない。
李音「本当だよ、昨日だって真優からたくさんキスしてくれた。ほら、もうここまで行ってるし」

真優「え?」


後ろから抱きしめられて、首筋を指さされる。

自分では何があるのか全くわからない状況の中、男子生徒は悔しそうにしながら去って行ってしまった。


真優「何したの?」

李音「昨日首にま〜ちゃんは僕のですって落書きしておいた」

真優「な!何してるの!?油性で書いてないよね!?」

李音「安心して、ちゃんと油性だから」
  (キスマ気づかないの、本当純粋でかわ
   いーね)


先日寝ている間にこっそりつけたキスマーク。

一つは目立つ位置に、その他は見えにくい場所につけてあった。

そして真優は一切気が付かなかったのだ。


真優「最っ低……」

李音「まぁまぁ、許して?これから僕の一生げるんだからさ」

真優「一生……?何言ってるの本当……」

李音「ふふっ、そんなことよりさ……なんで、すぐ断らなかったわけ?」


途端に李音の声が低くなる。


真優「……へっ?」


壁まで追い詰められて、ドンッと頭の横に手が置かれる。

避けて逃げたい気持ちを抑えた。と言うか、逃げれないと瞬時に理解してしまった。


李音「来て。ここじゃダメ」


次に強く手を握られて、空き教室へと連れてこられてしまったのだった。



***


真優(ピンチだ……!)

李音「ねぇ聞いてる?なんですぐ断らなかったの?俺っていう男がいんのに、浮気しようとしたんだ?」

真優「はぁ……!?李音くんこそ、なんで私があなたのものだと思ってるわけ……!?」




< 45 / 48 >

この作品をシェア

pagetop