意地悪王子には騙されない。
もう夕方で、共に夕食を食べているところだった。

夕食はなんと李音の手作りだ。


真優「……美味しい」

李音「ふふっ、そうでしょ?僕、こう見えて料理もできるんだよ」

真優「すごいね」
(どうして私がこんなハイスペック王子様と同居してるんだか、ますますわかんないよ……)

李音「そうだま〜ちゃん、約束、作ってもいい?」

真優「?いいけど……」


李音は嬉しそうに微笑む。先程までの悲しげな表情は消すように。


李音「家事は分担で、限界が来たら使用人に頼むから言って。あと、一緒に登下校すること。で、一番大事なのが……僕たちが同居してることは、誰にも言っちゃだめ。いい?」

真優「うん、わかったよ」

李音「ふふっ、ありがとう。じゃあ、これならよろしくね、ま〜ちゃん」

真優「こ、こちらこそ……」


急ながらも、真優も軽く会釈した。


○夜・真優の部屋


真優(ベッド、大きすぎて落ち着かないよぉ……)


小さい頃から大事にしているぬいぐるみを抱きしめらながら、落ち着かない心をどうにかしていた。


○翌日・家、リビング


真優「……ふぁー……」
(あれ、李音くんまだ起きてないのかな?)


大きなあくびをしながら、真優はソファにゴロンと寝転がった。


真優(ちょっと早く起きちゃったし……もうちょっとぐらい寝てもいいよね……)


そう思いながら目を瞑るけれど……どうしてだか、温かい気がした。

ソファはひんやりしているはずなのに、どうしてだか熱を感じて……不審に思い、目を開く。

するとそこには……。


李音「っ、真優?」


李音が寝転がっていた。

そう、寝ぼけてソファに寝転がっている李音の存在に気がつかず、すぐそばに寝転がってしまっていたのだ。


真優「り、お……くん?っ!わ、私……!ごめんなさい!!」


慌てて起き上がった真優は後退りして行く。


李音「まさか、ま〜ちゃんからこんな大胆にアピールされるなんて思ってなかったよ……そんなに僕とくっつきたかったんだね」

真優「んなっ……!!ち、違うの、ただ寝ぼけてただけだ……」

李音「寝ぼけるって、さすがにありえないんじゃないの?」

真優「で、でもっ……」
(初めての場所で全然寝れなくて、本当に寝ぼけてたんだってば……!!)

李音「あ、真っ赤になっちゃった、可愛いね」

真優「い、意地悪っ……」

李音(……可愛い。マジおかしいぐらい可愛い理性ぶっ飛びそう)

真優「あ、朝ごはんは私が作る——って、もうできてる!?」


パンやスープにサラダと、もうとっくに完成されている朝食が目に入り目がまん丸に真優。


真優「もしかして、李音くんもう作ってくれてたの……?」

李音「うん、早く起きれたから作っておいたんだ」

真優「あ、ありがとうっ……」
(すごく美味しそう……)

李音「食べていいからね」

真優「あ、うん!」


真優は洗面所に行き顔を洗ったりしてから、再びリビングに戻って朝食を食べ始める。

李音も真優が朝ごはんはを食べるタイミングで、共に朝食を食べ始めた。


真優「……!美味しい……!李音くんはすごいね」

李音「ふふっ、惚れた?結婚してもいいよ」

真優「……お断りさせてもらいます」

李音「それは残念だなぁ」

真優「あの、どうして私と婚約することになっちゃったの?」

李音「うーん、どうしてだか僕もわからないんだ。ごめんね」

真優「ううん。こちらこそ……私なんかがごめんね」

李音「?どうして?」
(こんなに可愛くて尊くて頑張り屋さんで可愛いのに……)

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