【大賞受賞】沈黙の護衛騎士と盲目の聖女

 ——あぁ、嬉しい、でも……。

 力を失うことがユリアナを守る最善の方法だとしても、父親でさえその手段を取らなかった。それなのに、今、彼女はそれをレオナルドに実行させようとしている。

 ——許して、殿下。あなたの罪は全て私が引き受けるから……どうか……!

 どうか最後まで抱いて欲しい。太ももに触れる熱を自分の中に打ち込んで欲しい。

 彼のくぐもった息遣いを聞きながら、ユリアナは腕を伸ばして背中に触れる。ここにも、深い傷痕が残っていた。

 レオナルドは顔を胸の上に移動させ、ユリアナの白く柔らかい肌の上に華を散らすように吸い付いた。チリ、と跡が刻まれ小さな痛みが肌の上に落ちる。

 ユリアナは胸を上下させながら彼の頭を両手で撫でた。柔らかい髪をしている。

 ——あぁ、このまま彼の熱を感じていたい……。

 今、この時が最後の触れ合いだとわかっている。何度も彼を求めることができないことも、先見をして知っている。

けれど、それでも彼を求める心を止めることはできない。

 何度もレオナルドと口に出して叫びそうになるのを堪えながら、ユリアナは彼の愛撫を享受した。きめ細やかな肌を何度も大きな手で撫でられる。敏感な箇所に触れられる度にビクリと身体を震わせた。

 怯えを見せた彼女に、レオナルドは大丈夫だと言わんばかりにこめかみに口づけた。髪を優しく撫でつけながら、顔中に唇を落としていく。

 ——あぁ、もう、私の呪いを断ち切って……

 息を乱しながらも覚悟を決める。
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