この感情が好きに変わるまで
うぅ、恥ずかしい…っ!
痛いのが来ると思って身構えたが痛みは来なかった。
恐る恐る目を開けると…。
「上桐っ!!」
「大丈夫か、七瀬?」
上桐が私を抱きしめて守ってくれた。
「私は大丈夫だよ!上桐こそ大丈夫なの?」
私は急いでハンカチを出してそっと拭いていく。
「怪我がなくてよかった」
…上、桐……?
上桐の瞳が優しく私を映していた。
「それにしても派手に汚れたな」
そう言った上桐に私は自分の服を見た。
泥だらけの制服。
そして上桐の顔には泥がついていた。
「ふふ、本当だね!」
なぜだかおかしくて私と上桐は笑った。
「あははっ!!」
お腹が痛くなるまで笑いあった。
入学してから初めてかもしれない。
上桐とこんな風に笑い合うのは…。
……上桐はこんな風にも笑えるんだ。
そう思った。
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