この感情が好きに変わるまで
私は走って上桐を探しに行った。
まだそんな遠くには行っていないはず。
さっきまでそばにいたのに。
目の前を歩いていたのに!
「上桐…」
本当は連れ出してもらえて少し嬉しかった。
息苦しくて仕方なかった。
でも出てしまうと現実を受け入れなければならないと思う怖くて。
部屋にいた間も上桐やみっちゃんからたくさんメールがきていたのに私は怖くて開くことが出来なかった。
「はぁはぁ…っ」
上桐、どこなの?
どこにいるの?
でも本当は話したかったの!
失恋したこと。
悲しくて苦しいはずなのに胸が痛くなくて、涙も出なくて…なんでかわからなくて。
本当は真っ先に打ち明けてしまいたかった。
それでも…上桐にそんなこと…言えなかった。
「きゃ!」
私は何かに躓き、転んでしまった。
「痛っ…!あ…鼻緒が」
その衝撃で鼻緒が切れてしまった。
人通りが少ないこの場所で転んで鼻緒まで切れてしまうなんて本当に最近ついてないな。
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