この感情が好きに変わるまで
そう言った女は鞄の中から1つの温かそうなタオルを取り出した。
そしてそのタオルを猫にかけた。
『よし!これで寒くないでしょ?本当は家で飼ってあげたいんだけど私はたぶん家にほとんどいないから』
そう悲しそうに言う女。
この学校は全寮制だから飼えないのか。
なぜか1人の女から目が離せなかった。
『じゃあね』
そう言って女は顔を上げた。
思わず見入ってしまっていたので思いっきり女と目が合った。
その女は俺のとこにトコトコと歩いてきた。
『君、大丈夫?』
そう突然聞いてきた女。
俺は「は?」と思った。
俺が何も答えないでいるとスっと女が手を伸ばして俺の頬に手を添えた。
『耳まで真っ赤だよ?寒いんでしょ?』
そう言って女は自分の首に巻いていたマフラーを取って俺の首に巻いた。
まだ女が使っていた温もりが残っていた。
温かい…。
俺は心の中でそう真っ先に思った。
そしてその後も女はポッケからカイロを取りだした。
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