この感情が好きに変わるまで
『これもよかったら使ってね!お互い頑張ろうね!』
そう言ってニコッと笑った…女の子。
そのまま俺は何も言えずに走り去る彼女の背中を見つめていた。
その後のテストも彼女がくれたマフラーとカイロでなんとか乗りきることが出来た。
名前も名乗らなかった女の子。
『また…会えるかな?』
俺の胸はドキドキと高鳴っていた。
こんな感情は生まれて初めてだった。
そうしてそんなに月日が経たないうちに俺たちは再会した。
運命だと思った。

「…り!上桐!おーい!起きろー!」
夢の中にいた俺を現実の世界に引き戻したのは。
「ん…七瀬?」
「もう!いつまで寝てるの?しかもこんなとこで!もうお昼すぎだよ」
そう言ってぷくっと頬を膨らませる七瀬に不覚にもキュンとしてしまった。
…不意打ちは卑怯だ!
そんな俺に七瀬は聞いてきた。
「何か幸せな夢でも見てたの?」
「え?」
なんでって聞こうとして俺よりもすぐに七瀬が言った。
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