この感情が好きに変わるまで
「まあ本人に直接聞くのが1番何じゃない?」
「でも……」
聞くのが怖い。
まだ心の準備もできてないのにって思っていたら後ろから噂の上桐がきた。
「七瀬!」
私はビクッと肩を揺らした。
今の話聞いてた?
上桐の表情を見るとたぶん聞いていないと思った。
よかった。
「1位取ったから聞いてくれる?…大事な話」
「!」
もう…逃げられない。
向き合わないとなんだ…。
私はコクリと頷く。
そして呼吸を整えて上桐を真っ直ぐ見る。
「俺、好きな子がいるんだ」
その言葉を聞いた瞬間、私の胸はズキっと痛む。
でも耐えなきゃ…。
「その子は優しくて、いつもニコニコ笑っててさ」
上桐、そういう子がタイプなんだ…。
本当に好きなんだね、その子のこと。
とても幸せそうな顔してる。
「その子ね、他に好きな人がいるんだ。でも失恋したみたいでね…」
失恋……、今の私みたい。
でもすごいな。
なんだか私と少し…似て…え?
「なんとか乗り越えてさ、夏祭りで少し近づけた気がするんだ。…もうわかった?」
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