この感情が好きに変わるまで
嘘…っ。
私は目に涙をいっぱい溜めていた。
少しずつボロボロと零れていく。
「その子の名前は…七瀬千彩って、言うんだ」
「っ!!」
これは…もしかして私の都合のいい夢、なのかな?
だってありえないよ。
上桐が私を好きなんて…。
「試験の時は助けてくれてありがとう。お陰で寒くなくなった」
試験?もしかしてあの時の男の子って…。
私がマフラーを渡した男の子?
「あの時からずっと七瀬千彩に恋をしてる。七瀬千彩さん」
上桐は私の前に片膝をつき、私の手を取った。
それはまるで恋物語のワンシーンみたいだ。
「貴方が好きです。俺と付き合ってくれまさか?」
私は涙が止まらなかった。
嬉しくて声が…。
早く返事をしなきゃって思ってるのに…。
私、とっても幸せで……。
「はい…よろしく、お願い、しますっ」
嗚咽混じりなんとか言えた返事だけど上桐はとても嬉しそうに…幸せそうに微笑んだ。
「やったー!!」
「きゃ!」
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