ムショうの
無償の


「離婚したの」


 うのちゃんから、そんな電話があった。

「・・・ふうん、そっか」

 と言うと、ずいぶんアッサリだなぁと、笑われた。

 だから一生懸命考えてみたけれど、出てきた質問は、「えっと、いつ?」だけだった。
 おととい。うのちゃんは、ちょっとだけ笑って答えた。

 三分四十八秒。
 電話を切ったあとに表示された通話時間。久しぶりの姉妹の会話にしては、たしかにアッサリかもしれない。

 だって、リコン、て。いきなりそんなこと言われてもってかんじだし。

 お風呂上がったばっかだし。まだTシャツしか着てないし。もうじき楽しみにしているドラマが始まっちゃうし。

 それに、「するの」じゃなくて、「したの」って言われたから。
 完了したものに関して、今さらなにかを言ったって、しょうがないし。

 ・・・そっか。

 髪をバスタオルでふきながら、思った。

 ゆるい短パンをはきながら。ドライヤーめんどくさい、とつぶやきながら。チャンネルを、見たいドラマにあわせながら。


 ・・・そうか、離婚したのか、うのちゃん。



< 1 / 59 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop