ムショうの

 うのちゃん。
 というのは、わたしのお姉ちゃんにあたる人だ。

 わたしより、七つ年上。今わたしが十六だから、ええと。二十三になる、んだと思う。

 年の離れた姉妹だ。わたしが小学校に入学した時、うのちゃんは、もう中学生だった。

 だから、うのちゃんがいつも先にいるのは、当たり前。お下がりの制服が、デザインは変わっていないのにずいぶん古くさい気がするのも、当然。

 七年分、それよりももっと、先に先に行こうとするセッカチなうのちゃんは、二十歳のときに結婚した。そして、この家を出て行った。

 三年前だ。わたしが、中学一年生のとき。

 うのちゃんの結婚式。
 その時はまだ、髪をいじったことがなくて、パッツンストレートがわたしのトレードマーク。

 だから、美容院で、人生初の巻き髪と、アップスタイルに挑戦したのがこのときだった。
 ふわふわの髪の毛はオトナっぽくて。その髪型は、パーティードレスにとてもよくにあう気がして。

 けれど、元にもどすのが大変だった。
 式が終わり、家に帰ってからほどくと、カミナリに撃たれた人みたいなありさまだったから。

 スプレーでガチガチに固められていたせいで、強引にクシで引っ張ると、ブチッて髪がちぎれる音がした。

 なんか、ショックだった。そんなことが、一番に思い出された。


< 2 / 59 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop