カフェとライター



密室は流石によくないと思う。色んな意味で。

「今日の撮影の進行表はもらってるので、時間まで私はどこか待てるところで待たせて頂こうかと…」



「ここに来んの初めてでしょ。広いし複雑だから。迷うよ」

「どこか、待てるところだけ教えてもらえると・・」

「ここで」

トントン、と部屋を指差す戒李くん。

「それに、進行表はあくまで予定で。フツーに推したり巻いたりそれ通りに行くことなんてないから。あくまで目安」

「なるほど・・・」



「呼びにいくのもめんどい。黙って入って」

煩わせないように、

迷惑かけないようにと思っての提案だったのだけれど。

逆に煩わせてしまっているのかもしれない。少しだるそうに言われてしまって。




それ以上食い下がることはできなかった。

「・・・はい。失礼します」

「忍成はもうちょっとしたら来るらしい」



「あ、はい」

忍成さんとはLOOPについているサブマネージャーさんだ。


一宮さんと共にマネージャーとしてついてくれている。



今日は一宮さんではなく忍成さんがつくようだ。

LOOPを担当されているマネージャーさんは事前の打ち合わせの時に顔合わせはしているので覚えてる。


カバンを置き、荷物を取り出しながら自分の空間を作っていく戒李くんを見つめる。

「・・・座れば?」






「・・失礼します」

言われて、ソファの端に気持ち座ってみた。

「・・・あの、」

「何」

ごめんなさい、と思いながら声をかける。

この先邪魔をしたくないので先に聞いておこうと思ったのだ。

「私、密室に2人きりで大丈夫ですか?変な噂とか立てられたり・・」

全然外で待てるので。


そんな気持ちで心配になりながら戒李くんに尋ねる。

「大丈夫でしょ」



私の質問を理解するまで時間を要したのか。

動きをとめ、一瞬。

固まった戒李くんは次にはそう一言他人事のように告げて動きを再開する。…そんな、軽くで大丈夫なのだろうか。



でも、この会話はこれ以上は続けられそうになかった。



やっぱり大丈夫じゃなくない?とかもし変な噂がたったらお互いにいろんな意味でやばくない?とか。





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