カフェとライター
私が入学した時からある、どこからか貰ってきた古いソファーに横たわっている男子生徒に心底驚きつつもじいっと見つめる。
目の上に腕を置いているので顔は見えない。ネクタイと上履きの色が自分と同じだから、同じ3年生…同級生だと言うことは分かった。
眺めながら、……珍しい、と思う。具合が悪いのだろうか。
でも、それだったら保健室に行くよね…
部活生は大体部室で休むし、
わざわざここに来てるってことは帰宅部生だろうか…?
誰だろうと考えてみるけれど、新学期が始まったばかりで同じクラスの男子もまだ覚えきれてない。
クラス数も多いし顔がわかっても名前なんてどうせわからない、と途中で考えるのを諦めた。
…どのくらいそのままにして時間が経ったっけ。
時々チラチラと動かないその人を見ながらもそのままにして、自分の仕事をしているとあっという間に1時間は経っていて。
横たわっていた人がみじろぎした音で
私も集中していた自分の世界から、ふと、現実に戻る。
小さく気だるげに声を漏らし、そしてやっと現実に戻ってきたのだろう。
次の瞬間、ば、と顔を上げて勢いよく起き上がるもんだから、ここにきた時と同じようにまたびっくりしてしまった。
視線が合ったものだから、咄嗟に。
「……おはようございます」