カフェとライター
「え、?」
ぷはーっとペットボトルのお水を半分くらい一気飲みした来くんが、
そういえば、とニコニコ笑顔で質問してくる。
好きな、曲…
「……、、」
えーっと、と悩んでいると
「聞いてない?」
とすぐさま新さん。
「いえ、!聞いてます、密着前に一通り…」
そんなそんな、と焦って手で否と振りながら答えれば、
「あ、元々好きじゃなかったパターンだ」
すかさず新さんが意地悪くにやにやしながら言い、それを聞いてえー!と私を指差す光くん。
「興味なかったんだろ」
練習室の端。
長いソファーベンチに座る私の足元で、
床に体育座りで今撮ったばかりのダンス動画をスマホで確認してる戒李くんが
私を見ずに言う。
動画を確認しつつも話は入ってくれているようだ。
「いえ…そう言うわけでは…、、生半可に好き、って言っていいものか悩んで…」
興味がなかったわけではない。意図的に自分の中に入れないようにはしていたけれど。
それに、安易に好き!なんて言えるほど追っかけておらず、熱烈ファンの方に怒られそう。
「生半可でも全然好きでいいけどなー」
ポスっと横に腰掛けながら笑う新さん。
「で?」
好きな曲は何?とニッコリ。
これでもかと笑顔を作られて答えろと圧をかけられる。
苦笑いを向けながら…、好きな曲、と言えば…、
少し考えて。