カフェとライター




「私あんまり、みたいな顔してさー」

「いや、いや」




「ういちゃんほんと、控えめねー」

「や、マジでreturnがういちゃんの口から出てくるなんて思ってなかったわ」

「俺も」

「てか俺らも一瞬思い出すのに時間かかった」


「わかる」


ポンポン交わされる会話。




「………何で」

困ってその様子をみていると、下から聞いてきた戒李くん。

視線は相変わらずスマホだが、変わらないトーンで淡々と。





「何で、その曲が好きなの」






まっすぐ質問されて、困る。

実際に歌ってる人たちの前で


その人たちの歌の好きなところを言うのは恥ずかしいものがあるのだけれど。


「話せば長くなりそうな…」



「聞きたい聞きたい」

新さんに食い気味で言われる。光くんと来くんも興味深々のアイドルスマイルで私の次の言葉を待っていて。



戒李くんも、チラッと動画ではなく私に視線を向けてくる。

喋るまで終わらない雰囲気に、



なるべく短く伝えようと口を開く。

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