カフェとライター



「無理無理無理ですよ」

観光なんて、

「撮られたら、」

「気にしすぎ」
「いやいや、工藤さんが油断しすぎです」




私の中にある、今1番恐れていることは

撮られること、変な噂を立てられることだ。


それに、
「明日も撮影ですよ、休んだ方がいいんじゃ、」

「勿体無くない?ここまできてどこにも行かないってつまんないでしょ」



淡々と落とされる言葉に、詰まってしまう。私を気遣ってくれているのだろうか?それともただ、戒李くんが観光したいのだろうか?




でも今日も1日中撮影で明日も撮影なのに?

少し考えて、せっかくの提案を無碍にするのも心が痛むので頭をフル回転させて、

「じゃあ忍成さん達も一緒に、」



「なんでだよ絶対やだよ、」






「……、、」




近くで撮影だったから、

光くんと忍成さんも近くのホテルに泊まり


明日こっちのローカル番組に出演して帰ると言っていた。

ご飯くらいならもしかすると今からでも誘えば、と思った私の提案は秒で却下される。困った私。戒李くんの希望を叶えてはあげたい。


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