カフェとライター
「そんな違わないけどな」
きっと、もう。
そっち側 だからそう思うのだろう。
ただの一般人の私からすれば、何もかもが違いすぎる。でも、それを細かく言えば、彼はまた不機嫌になってしまうのだろうな。
そう横顔を見ながら思い、
夜景に目を向ける。
「…まさか、戒李くんとお酒飲む日がくるとは、思ってませんでした」
グラスの中のシャンパンを揺らしながらぽつり、落とした言葉。
しみじみ思って言っただけなのだけれど。ふと戒李くんを見れば、
……え、
曇る表情。
「……工藤さん?」
「ん?」
どうして、
そんな悲しそうな顔をするの?
何が、いけなかったのかわからなくて、内心焦る。目の前の彼の、そんな顔は、最後に見た時と同じで、被って見えた。