カフェとライター
すぅっと息を吸って、出た声は、自分でも驚くくらいか細くて震えてた。グッと力を入れても、掴まれた腕はびくともしない。ピタっと止まった戒李くん。
「やめて、戒李くん…」
ぐっ、と瞳を閉じた。
「おかえりーー」
「ただいまです」
「慣れない地方で大変だったでしょ?」
「息抜きも兼ねて前倒しで戻って来れてよかったよかった!俺らの密着は基本日中だから夜はちゃんと寝れるしね」
「ありがとうございます」
LOOPの事務所に出勤すると、暖かく迎えてもらえてほっ、と安心する。少しだけ、と言っても4日ほどだけど。
戒李くんと別行動になった。
ちょうど気まずいと思っていたのでよかった。
4日間だけ、別々で顔を見ずに落ち着ける。
戒李くんから離れて、今日密着させて貰うのは来くん。
今度発売されるアルバム特典のサイン書きがメインの仕事だ。
その他の仕事での移動もなく、今日全て書き上げなければいけないらしい。
それを見つつの、お手伝い。