カフェとライター






すぅっと息を吸って、出た声は、自分でも驚くくらいか細くて震えてた。グッと力を入れても、掴まれた腕はびくともしない。ピタっと止まった戒李くん。

「やめて、戒李くん…」


ぐっ、と瞳を閉じた。






















「おかえりーー」

「ただいまです」


「慣れない地方で大変だったでしょ?」

「息抜きも兼ねて前倒しで戻って来れてよかったよかった!俺らの密着は基本日中だから夜はちゃんと寝れるしね」

「ありがとうございます」

LOOPの事務所に出勤すると、暖かく迎えてもらえてほっ、と安心する。少しだけ、と言っても4日ほどだけど。


戒李くんと別行動になった。

ちょうど気まずいと思っていたのでよかった。

4日間だけ、別々で顔を見ずに落ち着ける。

戒李くんから離れて、今日密着させて貰うのは来くん。
今度発売されるアルバム特典のサイン書きがメインの仕事だ。

その他の仕事での移動もなく、今日全て書き上げなければいけないらしい。

それを見つつの、お手伝い。

< 54 / 127 >

この作品をシェア

pagetop