カフェとライター


鋭い眼差しで真っ直ぐに射抜かれて。バタンと閉まるドアによろけるように一歩下がる。


ーーーー離れていった瞬間


彼の匂いが、また鼻腔をくすぐった。

口を押さえて驚く私に。

戒李くんはこちらを見ることなく走り去って行った。



ーーーー困ればいい。



そう言った彼の言葉の意味を知るのは


ほんのわずかに先のことだった。










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