カフェとライター

人気が出てきた弊害で、テレビで見る俺を求められているんじゃないかと常に気を張ってしまっていたが、

水野憂は仕事について労りはするけど特に何も言わず。



自分なら体力的に無理だと他人事で。

ここだと、普通の男子高校生でいれる。

そんな気がしてた。



…卒業が近くなって、このままここで会い続ける日々も終わりが近づいて。もっと近い距離になりたくて、雰囲気的に我慢できなくて。


…キスしたことは後悔してない。でも、卒業まで会えた残り僅かを自分が早めてしまったことだけは後悔してる。

その日から図書準備室にこなくなった。



俺も覗きはするけどいないから準備室で休むことも無くなって。

そして卒業式が来て完全にたまたま会う、なんてことも行けば会えるかも、なんてこともなくなった。


ごめん、とか謝りに行こうかとか、なんでこないの、とか。




向こうのクラスまで直接言ってやろうかとも

思ったことはあったけど。


それはそれで仕事の問題もあるし、何よりクラスも何も接点がない俺らを見て、他の同級生が騒ぎ立てることを彼女は1番嫌うだろうと思ってやめた。


もう嫌われたかもしれないけれど、嫌われるのが嫌だった。

卒業式の日、記念にきっと工藤戒李と同級生だった、同じクラスだったと言いたいがためだろう生徒に囲まれてる時。

憂と目が会った気がしたけど、

気のせいだったかもしれない。俺の願望だったのかも。


そのまま卒業して、どこにいったのかもわかんなくて。唯一、高校の友達と繋がって見つけたSNSだけが情報源だった。だけど、全然更新しねーの。
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