カフェとライター

ずっと探してた。なんて言ったら。

絶対絡んでくるじゃん。

「あ、気になるんでしたらこれ良かったらどうぞ」


思いついたように、スタッフさんはポケットに手を突っ込んで、そこから何か引っ張り出す。



はい、と渡されたソレを、受け取る。

「さっき貰って。店の場所も書いてあるんでよかったら」

名刺サイズの店のカード。


「…ありがと」




カフェの場所を知ってから、午前中で仕事が終わった日。

そのカフェに実際に行ってみた。行ってみた、と言っても店の前を通っただけだけど。



本当に働いているのかはわからない。


たまたま客として行った時に撮ったお気に入りかもしれない。

たったそれだけの手掛かりだったけど、一度は必ず訪れていた場所。


帽子に、マスクに。怪し気だけど。カードの道案内通りにあった店は、数組テラス席もあり、道に面した窓はガラス張りになっていて中も見やすい。

通りすぎるようにして、店内を見つめた時。ーーー久しぶりに見た姿。すぐに、わかった。




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