カフェとライター
めんどくささが顔に思いっきり出てしまったのは自分でもわかる。
そしてその後に言われる言葉も。
「そーいうわけにはいかないだろ」
はぁ、と向こうも呆れた顔全開で。
「わかってるだろ。この企画が始まる時も念押ししたよな?切り取られたらその瞬間しか見られないこと。全然よくないけど、百歩譲ってお前は良くてもあの子は一般人なんだよ。耐性もなけりゃこの後また普通に生きていくんだよ」
「……」
「一般人だから顔出しはされてないけどいつ特定されるかわからない。密着してる子ってことはバレてる。下手したらすぐに特定されるぞ。SNSも…」
「………」
「ファン舐めんな」
「別に、舐めてない」
特定のすごさはわかっている。
そういうのが面倒だから公式のSNSを俺はしてないんだ。
「お前と同じようにこれが全部水野さんに振りかかる。あの子は慣れてない。受け止め切れるのか?」
「………」
答えない俺をおいてスタッフ達が話し始める。
「抑えるか?こちらも黙ってフェイクだと拡散するのもありだ。そうするか?」
「とりあえず質問の回答はしない。戒李は完全に送迎。水野さんも突撃来ないように新星社に頼んで配慮してもらう形で、」
バタバタと周りで対策が練られていく。
……別に、受け止められなくてもいい。俺が囲う。そう思うのは、幼いのだろうか。
ごめん。撮られた。 <戒李