be your star.
冬と花

「おにーさん、これってどうやるの?」

その言葉を聞いて顔を上げたのは、自分しか居なかったからだ。

勿論、その顔はこちらに向いていた。

深くキャップを被った男性は一万円札をぺらぺらさせながら食券機の前に佇んでいる。カーキのモッズコートを着ていて、その上からでも分かるほどスタイルが良かった。

暫し見ていると、一万円札を見せられる。

「戻ってきちゃうんですけど」
「あ、一万円は使えないんです」
「偽札じゃないよ」
「はい、両替しますね」

思わず笑いながらそれを受け取った。

店に入ってレジを開ける。札を崩してお金を返す。

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