be your star.
魚と歌
翌日、駅の花時計の前に行くとヤマダさんが昨日と同じくキャップを深く被っていた。その姿を見てほっとする自分がいる。
五分だった。
だってこの人、旅人だし。
ヤマダさんはスマホを持っていた。あれ、昨日持ってないって言ってなかったっけ。
本当に遠回しに断られたんだなと知って、胸に棘が刺さった、気がした。
いや、良いけれど。
別に良いけれど。
持っていない体なら、見ない方が良いなと思って声をかけるのを留まった。早くスマホしまわないかな。
もうすぐ待ち合わせの時間になってしまう。
花時計をぼんやり見る。