be your star.
水族館に着くと休日より閑散としていた。混んでいるよりもずっと良い。
「はいこれチケット」
「そうだ、お金。チケット代も払います」
「いやいーよ、アシ代」
門前払い。ヤマダさんはすたすたと入り口から歩いて行ってしまう。
ここには幼い頃に一度来たきり。観光スポットになっているので、地元の人はあまり来ない印象を受ける。
でも、大きな水槽は大きなままだ。
河川と海に生息する生物の違いを見ながら、ヤマダさんを視界の端に捉えた。
カニの水槽の前にいる。
「カニ、好きなんですか?」
その後ろ姿に尋ねた。