be your star.

取ってつけたような理由に呆れる。

「ヤマダさんは理由がないと、遊んじゃいけないの?」

変なところで真面目だ。
真面目というか、雁字搦めというか。

「……まあやらないといけないこと、放ってきてるから」
「あ、やっぱり仕事さぼってるんですね」
「まあそりゃね。ベースも置いてきたし」

ふわふわとした返答に、ヤマダさんが動き出す。

「迷子なんだよ、どっちも」

ゆっくりと横に歩いていくカニには目もくれず、展示室を出ていく。

――ピンポンパンポーン。迷子のお知らせです。

その放送音に二人して足を止め、思わず顔を見合わせて笑った。



< 29 / 113 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop