be your star.
「行きますか? カラオケ」
尋ねる。足を踏み出すにはきっかけが必要なのだと思う。
ヤマダさんは小さく笑う。
「自分はゲーセンで待ってる、とか言わない?」
「一人カラオケが良いならそうしますけど」
「一緒に来てください」
久しぶりにカラオケに来た。高校のときの記憶が最後だ。
ヤマダさんが部屋番号の伝票を持って先を歩く。
「おおーなんか懐かしい」
「私も同じこと思いました」
「俺らマブじゃん」
「マブ……」
「いや、ラブ?」
「あ、ここです」
行き過ぎた部屋を指す。ぴたりと止まったヤマダさんが後ろ歩きで戻ってくる。