be your star.

人気バンドのベースボーカルで、歌声の違和感に共感を得られなくて、それでも歌を歌っていた。

最終的に、この場所まで自分を探しにきて。

「あ、違いますよね。流れた星じゃなくて、流れてる星の方で」
「流されてる星じゃなくて?」
「はい。ツバキさんは自分でここに来たんですから」

ツバキさんを見ると、同じようにこちらを見ていた。

笑おうとしてる変な顔。

片手で自転車のハンドルを支えて、静かに私の方へ手を差し出した。

「寧子ちゃんと居て、すごい楽しかった」

その手を握る。

「さっきは篠山にああ言ったけど、答えはもう出てるんだ」

わかってる。さよならの握手だ。

< 70 / 113 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop