be your star.
人気バンドのベースボーカルで、歌声の違和感に共感を得られなくて、それでも歌を歌っていた。
最終的に、この場所まで自分を探しにきて。
「あ、違いますよね。流れた星じゃなくて、流れてる星の方で」
「流されてる星じゃなくて?」
「はい。ツバキさんは自分でここに来たんですから」
ツバキさんを見ると、同じようにこちらを見ていた。
笑おうとしてる変な顔。
片手で自転車のハンドルを支えて、静かに私の方へ手を差し出した。
「寧子ちゃんと居て、すごい楽しかった」
その手を握る。
「さっきは篠山にああ言ったけど、答えはもう出てるんだ」
わかってる。さよならの握手だ。