be your star.

篠山さんは本当にツバキさんの部屋に着くなり眠った。玄関に置いてあったキャップを被り、大きなソファーに倒れ込み、ぐっすりと。

驚き、それを凝視しているとキッチンから戻ってきたツバキさんがそれを素通りして私の前のテーブルにミネラルウォーターを置いた。

「いつもこうだから。気にしない」

ペットボトルの蓋を開ける。パキ、と良い小気味良い音がした。

「バンド、続けてるんですね」

テーブルの角を挟んだ向こうにツバキさんが座る。

「好きなことは大事にするって、寧子ちゃんの言葉に触発されて」

潜めた声に準じて、私も声を潜める。

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