【WEB版】空っぽ聖女と婚約破棄されましたが、真の力が開花したのであなたなんてこちらから願い下げです!~義姉に全て奪われたけど、銀竜公爵からの溺愛が待っていました~
「では準備ができましたらお伝えいたします」
「任せたぞルビディル……今宵は久々に美味い酒が飲めそうだ」
「御意に。では、失礼いたします」

 絶望的な思いを隠しながら私は、その場で礼をし早々と退室した。
 そしてその足である所へ向かう。

 つけられている様子も、誰かに見られていることも無いというのを確認し、ある一室の扉をノックする。

「……入ってくれ」

 低い声がして、私はその部屋に素早く潜り込んだ。

「む……どうしたルビディル。今日は使いの者ではないのか?」

 そう答えたのは、先程話に出た私の協力者――第二王子ロベルト様その方であった。

「ほっ、戻っていらっしゃいましたか。急な訪問をお詫びいたします。取り急ぎお伝えしたいことがございまして……」

 実を言うと、もう数年前から私の心は王太子から離れている。

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