【WEB版】空っぽ聖女と婚約破棄されましたが、真の力が開花したのであなたなんてこちらから願い下げです!~義姉に全て奪われたけど、銀竜公爵からの溺愛が待っていました~
 今代の国王陛下は特にこれといって飛びぬけた才能は無かったが、人として最低限の倫理観は持ち合わせている。だがカシウス王太子は駄目だ。あの方を王にすえれば例え我らがお支えしても、遠からず王家から人心は離れ、内乱はまぬがれない……。

 一方このロベルト王子は民や臣下を愛し、文武を修めようと努力を尽くし、先見の明も持ち合わせている。王族だからと奢ることも無く、我らの話をよく聞き入れ、国王や王太子を諭す勇気も持ち合わせており……どちらが王としてふさわしいかは一目瞭然だった。

「ご相談がございます。王太子はどうやら、今度はあの大公爵家の者に喧嘩を売りたい様子で……。私も臣下ももう我慢の限界が近づいております。ロベルト王子……あの話、考えては頂けましたかな?」
「僕も丁度その事を話そうと思っていた……。ルビディルよ、先日の奴の無茶を諫めようとしない王を見て、心は決まった。玉座を取りに行く」
「ほ……! ……本当でございますか!?」

 喜びの大声を響かせそうになって慌てて声をひそめた私に、ロベルト王子は静かに告げる。

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