【WEB版】空っぽ聖女と婚約破棄されましたが、真の力が開花したのであなたなんてこちらから願い下げです!~義姉に全て奪われたけど、銀竜公爵からの溺愛が待っていました~
「……練習だ……ッ!」
「……どうかいたしましたか?」
「なんでもない……できるまでやるぞ!」
「……ふふ、相変わらず負けず嫌いなんだからな……これで今以上にやる気も出るでしょ。さ、僕らもしっかり手本を見せてあげよう」

 そんな彼の様子を見ながらパメラの元に移動し、再び手を差し出すフレデリクは気づかなかった。……笑顔で手を乗せた侍女の視線が若干冷たくなっていたことを。

(この男どもは全く……リュミエール様が練習に出て来られなくなったらどうするのです!! 彼女はあなた達のおもちゃじゃありませんのよ!)

 ――女性への気遣いが足らない男どもに振り回されるリュミエールの為、一度お(きゅう)をすえてやらねばなるまいとパメラは決意してボソリと告げた。

「……伯爵様、おみ足にお気を付けなされまし」
「え、なんて言った……?」

 聞き取れなかった小さな声をフレデリクがパメラに確認した瞬間……彼女は強く足を踏み出した。そのかかとは足の甲に直撃し、広間には情けない悲鳴が甲高く響き渡る。

「ッァ――ゥ!!」
「あら失礼、間違えてしまいましたわ……ごめんあそばせ」

 ――いい気味よ!

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