【WEB版】空っぽ聖女と婚約破棄されましたが、真の力が開花したのであなたなんてこちらから願い下げです!~義姉に全て奪われたけど、銀竜公爵からの溺愛が待っていました~
 早速遠くから雪を掻き分け狼犬が走って来る……数は二頭。
 馬が竿立とうとしたのでどうにかなだめつつ、俺は目をすぼめた。

(弓は苦手だが、距離を詰めれば話は別だ……)

 俺は辛抱強く奴らが近づくのを待ち、一射目を放つ。

 ――タァン。

 頭部に命中し、前の一頭が倒れた。
 だが……もう一頭は逃げずにこちらに走り寄り、大きく飛び掛かって来る。

 その時にはもう俺は弓を離し、腰に()いていた長剣を抜刀していた。
 首筋を切り裂かれた狼はどっと地面に倒れ、血を流して動かなくなる。

 警戒を解かずに軽く周りを見渡すが、今のところ他に動くものは見当たらない。

「狩り勝負だというからな、ちょうどいいだろう……」

 俺はその二頭を血抜きした後、馬の鞍にぶら下げ他の獲物を探しに行った……。

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