【WEB版】空っぽ聖女と婚約破棄されましたが、真の力が開花したのであなたなんてこちらから願い下げです!~義姉に全て奪われたけど、銀竜公爵からの溺愛が待っていました~


 レクシオールは、ゆっくりと目を開く。

(気を、失っていたのか……?)

 もう部屋は薄暗く、窓からは月の明かりが差し込んでいた。

 日々の出来事が重なり疲れていたとはいえ、公爵ともあろう者が何と情けない……レクシオールは自分に落胆した。

(誰の支えも受けず、この地を守って行かなければならないというのに……くそっ。仕事に、戻らねば……)

 まだ痛む頭を無理やり動かし彼は体を起こそうとしたが、上に何かが乗っていることに気づいてそれを中断する。

 シーツの上で波打つ、白い絹のようなもの……その源には、ベッドの端で沈んでいるあの少女の頭があった。

(リュミエールか? こんな時間になぜ……?)

 幸せそうに寝息を立てる彼女は、肩にガウンを羽織ってはいたが、未だ踊っていた時と同じドレスを着たままだ。

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