【WEB版】空っぽ聖女と婚約破棄されましたが、真の力が開花したのであなたなんてこちらから願い下げです!~義姉に全て奪われたけど、銀竜公爵からの溺愛が待っていました~
(……父として、心残りがあるとすればやはり……未だあやつが私達の死に囚われていることだ。急過ぎた為、ろくに整理もつかぬまま、あやつは自分の気持ちを押し込めて私の後を継ぐしかなかった。あいつの中ではまだ、私達との別れが中途半端なわだかまりとなってしこりのように残ったままなのだろう……)
(レクシオール様にあなた様のことをお伝えした方がよろしいのではないのですか?)
(やめておいてくれ……。日々少しずつだが、表に出られる時間は少なくなっている……いつか消えるというのだから、何度も辛い別れを息子に味わわせたくはない)
(そう……ですか)
小さく首を振った小公爵にリュミエールは何も言えなかった。
リュミエールでも、彼がいなくなればきっと寂しいと思うのに……ましてや血の繋がりのある大事な家族だったなら、身を切り裂くような痛みを味わわせることになるのだろうから。
(だからリュミエール、今こうして話しているのが最後の機会かもしれないのだ。どうか、あと一つだけ私の望みを聞いてもらえないだろうか。あやつに母の……レジーナの本心からの言葉を伝えてやって欲しいのだ……)
彼はその体を持ち上げると、小さな頭を深く下げた。
(レクシオール様にあなた様のことをお伝えした方がよろしいのではないのですか?)
(やめておいてくれ……。日々少しずつだが、表に出られる時間は少なくなっている……いつか消えるというのだから、何度も辛い別れを息子に味わわせたくはない)
(そう……ですか)
小さく首を振った小公爵にリュミエールは何も言えなかった。
リュミエールでも、彼がいなくなればきっと寂しいと思うのに……ましてや血の繋がりのある大事な家族だったなら、身を切り裂くような痛みを味わわせることになるのだろうから。
(だからリュミエール、今こうして話しているのが最後の機会かもしれないのだ。どうか、あと一つだけ私の望みを聞いてもらえないだろうか。あやつに母の……レジーナの本心からの言葉を伝えてやって欲しいのだ……)
彼はその体を持ち上げると、小さな頭を深く下げた。