【WEB版】空っぽ聖女と婚約破棄されましたが、真の力が開花したのであなたなんてこちらから願い下げです!~義姉に全て奪われたけど、銀竜公爵からの溺愛が待っていました~
「だとしたら……俺はただの親不孝者じゃないか。二人の墓前にも訪れずに、こんな年齢まで一人で……もし二人がお前の言った通りで、こんな不甲斐ない俺を見ていたなら、どれだけ悲しんだことだろうな」
「いいえ……」

 リュミエールは彼の隣に膝をついて微笑む。

「本当にそう思いますか……?」
「……?」
 
 辛そうなレクシオールを、リュミエールは後ろから包み込むように抱きしめる。

「こんなに立派になられて……。しっかりと沢山の人を支えて守っているをあなたを見て……お二人が喜んでないはず、ありません。私もあなたに助けられました……この領地の多くの人達も、あなたの元で仕えることをきっと誇りにしています」
「こんな俺を……?」
「ええ、絶対に。ですからレクシオール様が今、何を考えているか……お二人に教えて差し上げて下さい」
「俺の……気持ち。……ああ」

 彼は涙を拭うと立ち上がった。

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