【WEB版】空っぽ聖女と婚約破棄されましたが、真の力が開花したのであなたなんてこちらから願い下げです!~義姉に全て奪われたけど、銀竜公爵からの溺愛が待っていました~
二人が眠る墓の真正面に立ち、背筋をしっかりと伸ばし胸を張った彼は、とても立派で美しかった。瞳にも強い光がまた戻っている。
「俺は……両親を相次いで亡くし、自分が世界で一番不幸なのだと思い込んだ時期もあった。けれど、そばにいる友人も、臣下も誰一人俺を見捨てようとはせず、こんな若造を大切な跡取りとして盛り立ててくれた。だから俺はここまで、逃げることなくやってこれたんだ……。子供の頃の楽しかった時間に戻れたら、二人がいた頃に戻れたらとそう思うことも確かにあったけれど……。そうか、今わかった。俺はもう今充分に幸せなんだって……」
そうしてレクシオールは、今までで一番素直な笑みを見せた。
「母上、父上……あなた達に感謝を。長い間見守っていて下さってありがとうございました。もう俺は、大丈夫です……。あなた達以外にも大切なものができたと、わかったから。……リュミエール、来てくれ」
一歩引いてそれを眺めていたリュミエールは、レクシオールに腕を強く引かれ、彼の隣に並んだ。
「きゃっ……あ、あの?」
「ほら、しゃきっとしろ。……父上、母上。紹介します……こいつが、俺の婚約者です」
びくっ、とリュミエールは固まる。
「俺は……両親を相次いで亡くし、自分が世界で一番不幸なのだと思い込んだ時期もあった。けれど、そばにいる友人も、臣下も誰一人俺を見捨てようとはせず、こんな若造を大切な跡取りとして盛り立ててくれた。だから俺はここまで、逃げることなくやってこれたんだ……。子供の頃の楽しかった時間に戻れたら、二人がいた頃に戻れたらとそう思うことも確かにあったけれど……。そうか、今わかった。俺はもう今充分に幸せなんだって……」
そうしてレクシオールは、今までで一番素直な笑みを見せた。
「母上、父上……あなた達に感謝を。長い間見守っていて下さってありがとうございました。もう俺は、大丈夫です……。あなた達以外にも大切なものができたと、わかったから。……リュミエール、来てくれ」
一歩引いてそれを眺めていたリュミエールは、レクシオールに腕を強く引かれ、彼の隣に並んだ。
「きゃっ……あ、あの?」
「ほら、しゃきっとしろ。……父上、母上。紹介します……こいつが、俺の婚約者です」
びくっ、とリュミエールは固まる。